• 2015.11.22

    大阪W選挙プロジェクト

  • 【大阪W選挙に向けて】

     2015年11月22日に行われる大阪市長選及び大阪府知事選挙(以下、大阪W選挙)は、自由で民主的な社会を守るための闘いです。

     これまで私たちSEALDs KANSAIは、安倍政権によって「成立」された安保関連法案をめぐる政治などを通し、自由で民主的な社会を守るために活動してきました。(安保関連法案に対するSEALDs KANSAIの詳しい主張はこちら → http://sealdskansai-statement.strikingly.com/)

     そして私たちは、大阪維新の会の政治においても、安倍政権による政治と同様、議会の役割が軽視され、民主主義の理念が否定されていると懸念してきました。さらに言えば、思想・信条の自由の侵害を是とする姿勢を示し、住民福祉の低下につながる施策を行うなど、大阪維新の会と安倍政権は重大な共通点を持っていると、私たちは考えています。

     以上を踏まえ、私たちSEALDs KANSAIは今回の大阪W選挙において、大阪ひいては日本の自由と民主主義のため、有権者に戦略的投票を呼びかけます。

     

    私たちがこれまでの大阪維新の会の政治に反対する理由は、以下の3点です。

    ①議会の役割の軽視

    ②住民サービスの切り捨て

    ③個人の思想及び自由の侵害


     

    ①議会の役割の軽視

     大阪維新の会の政治の最大の問題点は、議会の役割を軽視する姿勢にあります。民主政治における議会の役割の1つは、議論を通じて互いの意見を修正し合い、できるだけ広範な合意が得られる策を見出す努力をすることです。

     大阪維新の会は昨年7月、「大阪都構想」をめぐり、同構想の制度設計を協議する大阪府・大阪市特別区設置協議会において、「大阪市特別区設置協定書」(都構想の設計図)案の採決を強行するため、自陣営以外の会派を排除しました。ここには議会を軽視し、多様な意見を尊重しない彼らの姿勢が現れています。

     また彼らは、昨年10月に大阪府・市議会において一度否決された同「協定書」案をほとんど修正しないまま今年2月に両議会へ再提出し、可決させました。議会での討議によって可視化された反対意見を、修正案に一切反映させなかったのです。これも議会政治を軽視する大阪維新の会を象徴するものとして、市民の記憶に刻まれるべき事例です。

     加えて彼らが今年5月、「都構想」の住民投票にあたり、具体的な政策内容の説明をせず抽象的なイメージを提示するのに終始したことも、見過ごせない点です。市民に考える時間と材料を与えず一方的に性急な判断を求めることは、自らを「選挙で選ばれた民意」だと正当化し、名ばかりの民主主義を押しつけるものです。言うまでもなく、こうした一方的な政治は「自分たち以外の意見は排除する」という議会軽視の政治と同根であり、他者との議論を通して政策を決めていく民主的なプロセスからかけ離れています。

     大阪維新の会は熟議どころか、その前提である多様な意見の存在を否定し、議論すること自体を避けました。そのうえ市民に対して「都構想」についての明確な説明をせず、議論する機会を与えませんでした。議会政治の前提が、彼らからは抜け落ちています。

     

    ②住民サービスの切り捨て

     約8年間にわたる大阪維新の会の政治のもと様々な住民サービスが失われてきました。超高齢化社会が進展する中、特別養護老人ホームの建設補助金は1床あたり371万円だったのが、270万円にまで削減されました。介護保険料の基準額は2007年と比べて28%も増加し、全国平均より年間約6千円も高くなりました。

     また大阪市の幼稚園、保育園では、これまであった補助金が削減、水道料減免制度が廃止されました。これらによって保護者への負担増や保育者の削減が余儀なくされ、結果的に保育の質の低下を招くおそれもあります。待機児童への対応においても、保護者の生活状況などが完全に点数化され、大量の提出書類が課されるなど、保護者への負担が増えました。

     医療の分野では、住吉市民病院の廃止、千里救急救命センターへの補助金の廃止などが行われました。千里救急救命センターでは、24時間体制で行ってきたドクターカーや勤務体制が見直されました。これにより医師が不足し、診療科が減るなどして運営体制が弱体し、医療サービスを提供する側は負担増に見舞われています。そしてこれは、近くの病院を失って遠くの病院に車で行くことを余儀なくされる、救急搬送先が見つからなくなるなど、住民が負担・不利益を強いられることに繋がっています。

     このほかにも障がい者・福祉団体への補助の廃止、バスの路線の削減など様々な住民サービスが切り捨てられています。これらのことから、今までの大阪維新の会の政治によって、住民の生活が脅かされていることがわかります。

     

    ③個人の思想及び自由の侵害

     大阪維新の会による政治は、公務員に対し個人の思想・自由の侵害といえる行為を行ってきました。具体的には以下の2点が挙げられます。

     ひとつは「思想チェック」と言われるものです。これは2012年2月に大阪市の全職員に対して行われた「労使関係に関する職員のアンケート調査」に見て取れます。橋下徹大阪市長はこのアンケートへの回答を「業務命令」とし、「正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます」としました。主な質問内容は、市の労働組合活動や特定の政治家を応援する活動への参加経験の有無でした。また、それに誘われた経験のある人には、その活動内容や誘った人の氏名、誘われた場所・時間帯を記述する欄が与えられていました。この調査は職務とは何の関係もなく、個人の思想・信条に介入し、その自由を侵害するものです。その対象が公務員であっても、これを見過ごすことはできません。

     もうひとつは「口元チェック」と呼ばれるものです。これは大阪府内の公立学校の教職員が、行事の国歌斉唱の際に国歌を歌っているかどうかを目視で確認されることを指します。2011,12年、大阪維新の会に主導され、大阪府・市では「国旗国歌条例(君が代条例)」が制定されました。行事での国歌斉唱において「教職員は起立により斉唱を行うものとする」ものです。これに基づく国歌を歌うことを求める業務命令に3度そむいたと判断されれば、同じく大阪維新の会が主導した同府・市の「職員基本条例」(2012年制定)の規定により、免職されます。つまり大阪維新の会のこれらの施策は、教職員に国歌の歌唱を実質的に強制しているのです。

     日本国憲法第19条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と謳っています。憲法はこの国の自由と民主主義の根幹です。大阪維新の会は、この理念を軽視していると言わざるを得ません。

     

     以上のように私たちSEALDs KANSAIは、議会における熟議や多様な意見の尊重、思想信条の自由の保障といった民主主義社会における最低限の前提条件を守らず、生活保障を切り捨ててきたこれまでの大阪維新の会の政治に反対の意思を示し、これからの転換を求め、戦略的な投票を呼びかけます。また、私たちはこの大阪W選の後も、選挙で選ばれた大阪府・市民の代表が、自由と民主主義の理念に立脚し、住民生活の向上に努める市政、府政の運営を行うことを求め、監視し続けます。

     これは自由と民主主義のための緊急行動です。この国の未来を、大阪の政治を守るために、今できることをやりましょう。最悪を回避し、選挙が終わったあともチェックを怠らない、したたかな政治文化を創りましょう。


     

    NOW IT'S OUR TURN TO BE IN CHARGE.

    SEALDs KANSAI

     

  • PROJECT

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    “ R E A L ”

     私たちは抽象的なビジョンの是非を判断するまえに、これまでの維新政治が大阪になにをもたらしてきたのかをふりかえる必要があると考えました。そこでSEALDs KANSAIは、維新政治の改革の影響を受けてきた現場を取材し、生の声を集めるプロジェクトとして、"REAL" を立ち上げました。

     

     センセーショナルな未来志向のスローガンよりも、日々の生活現場の具体的な問題を冷静に見つめた、歴史的な判断が求められています。私たちは、自由と民主主義を尊重し、現場の「リアル」に即した政治を求めます。

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    “11.22 VOICE”

     大阪W選挙に向けて、著名人の方々からメッセージをいただきました。合わせて、SEALDs KANSAIメンバーからのメッセージも公開しています。

  • 【大阪W選挙を終えて】

     この一カ月近く、私たちは大阪W選に向け、「これまでの大阪維新の会による政治からの転換」を求めて活動して来ました。しかし、昨日行われた大阪W選挙の結果は大阪維新の会の候補者がどちらも勝利するという結果となりました。


     もちろん、この選挙の結果はしっかりと受け止める必要があります。その上で私たちはこれからの市政、府政及び国政について思考し行動し続けます。選挙は政治のあり方や政策を決定していくプロセスの中で非常に重要なものの一つですが、全てではありません。「民主主義社会」に生きる私達はこれからどのような政治が行われていくのか、監視し行動し続ける必要があります。この選挙で結果的に少数の側となったものの確かに存在した意思を、議会や住民の政治参加によってどのように政策に反映させていくのか。この選挙で可視化されなかったイシューに対しどのように向き合っていくのか。課題や出来ることは多くあります。

     そして、結果はどうあれ、今回の選挙戦を通して様々な収穫もありました。イデオロギーや政党を越えて、対抗軸となる「共闘」の形を示せたこと。そして、SEALDs KANSAIとして、"REAL"や"VOICE"など意見を可視化させるための様々な「装置」を残せたこと等です。これらの収穫は今後、民主主義政治を育てるための大きな糧となるはずです。そして来夏の参院選で必ず生きていくと確信しています。

     最悪を回避するための選択はこれからも続いていきます。今後も一人ひとりが思考し、疑問やおかしいと思うことには声を上げ、より良い結果になるよう努力し続けましょう。今回の選挙に関わったみなさんお疲れ様でした。またこれから始まっていきます。やることは初めから変わりません。できることをやり続けましょう。

     

    JUST DO IT.

    SEALDs KANSAI